レビュー

シグマのAPS-C大口径F1.8ワイドズームを、フルサイズカメラで使う

レンズレビュー SIGMA 18-35mm F1.8 DC ART

APS-C用のレンズは当然APS-Cセンサーのカメラで使うように設計されている。だが、実はフルサイズのカメラに取り付けることのできるレンズも多数ある。キヤノンのEF-Sシリーズは例外で、レンズの後ろが出っ張っているのでフルサイズのカメラには物理的に取り付けられないのだが、そのほかのAPS-C用レンズは、マウントが合えばたいていは取り付けることは可能だ(あくまでも自己責任でお願いします!)。

で、気になるのはその写りだ。レンズのイメージサークルがAPS-Cサイズに合わせて設計されているので、フルサイズで使うと、基本的には周辺が真っ黒になったトンネルのような写真になる。ただ、レンズというのは大変にアナログな代物なので、実際には「え、これ結構いけるじゃん!」というのも、探してみると実際には結構ある。

また、写真というのは「アート」な側面も非常にあるので、機械として四角四面に評価できないところもある。要は『使う人次第』なのだ。レンズのトリッキーな特徴を見つけ出し、それを表現として利用することは、ユーザーとしてはオッケーな、創作的な行為だと思うのだ。

具体的には、以降の作例を見てほしい。シグマの名玉、18-35㎜ F1.8 Artを、ニコンのフルサイズセンサーカメラ、Dfに装着して撮影してみた。

(註:すべてレンズフードを外して撮影しています。付属の花形フードは優秀で、APS-Cのフレームギリギリまで遮光してあって、フード装着状態でフルサイズセンサーカメラに取り付けると、ワイド側では四角っぽいトンネルの状態で写ります)

◎作例篇

フルサイズカメラで撮影。26mm F2.8 水平線の歪曲(ピンクッション)が目立ったため、歪曲を補正。絵柄のせいで四隅のケラレも目立ってしまったため、周辺を約90%にトリミング。※画像をクリックすると、補正前・ノートリミングの画像がご覧いただけます。
フルサイズカメラで撮影。31mm F2.8 ノートリミング。ピント面の解像がすばらしく、質感と立体感を与えてくれる。
フルサイズカメラで撮影。25mm F1.8(絞り開放) ノートリミング。波と砂に晒されたナイロンロープの漂着物が、何やら意味ありげなオブジェに見えてくる。
フルサイズカメラで撮影。35mm F1.8(絞り開放) ウェブサイトの小さな画面ではわかりにくいが、このレンズのピント面の紙のような薄さが、平板な風景に立体感を与えてくれる。半切以上の大きさのプリントで見ると、周辺のビグネッティング(ケラレのこと)や解像不足は、きっと画面中心への没入感をもたらす役割を演じてくれることだろう。

レンズの設計者は、「できるだけ周辺光量落ちのない」「周辺まで解像のしっかりした」レンズを目指し、しのぎを削る。そんな方々には大層失礼な話かもしれないのだが、写真家の創作意欲に限りはない。いろんな方法を試し、味のある描写を探してまわりたいのだ。

◎データ篇

ここからはデータ篇。もっとも気になる、各焦点域でのビグネッティング(ケラレ)の状況を、一覧でご覧に入れる。結論からいうと、私にとっては28~35mmあたりはケラレも少なく、とても魅力的な周辺描写が得られると思う。

フルサイズカメラで撮影
フルサイズカメラで撮影。
F1.8(絞り開放)
フルサイズカメラで撮影。
絞りF4
フルサイズカメラで撮影。
絞りF11
APS-Cサイズで撮影

最後におまけで(参考のため)、普通にAPS-Cサイズで撮影したカットもご覧に入れる。実際にはニコンDfのクロップモードで撮影している。当然だが、全く良好な描写!

APS-Cサイズで撮影。
F1.8(絞り開放)
APS-Cサイズで撮影。
絞りF4
APS-Cサイズで撮影。
絞りF11

◎結びに

このレンズ、大きさ重さもそれなりにあるけど、ズームレンズでF1.8という、唯一無二の存在。そして、それがもたらす絵作りは、ほかのレンズでは考えられないものがある。何ともすばらしい!!!欲しくなりました?お求めはこちら(↓)のリンクから(^^)/

シグマ 18-35mm F1.8 ART

Photo and Text by Kinjo Seido